多汗症の治療として、薬により発汗をコントロールすることもあります。手術などで交感神経を遮断するのと同じように、交感神経からの伝達物質アセチルコリンの分泌を抑え、多汗症の症状を調整します。一般的に、そのような薬を抗コリン薬と呼び、多汗症の治療以外にも様々な病気や症状で使われています。
薬が効く過程は先ほどもお話したように、手術などを行った場合と考え方は同様です。しかし、手術では部分的に交感神経の作用を遮断することができても、抗コリン薬は内服治療になりますので、全身的な副作用が心配されます。また、ある一定の量を内服すれば多汗症が解決する、というものでもなく、継続的に内服していかなければいけません。長期に渡る治療になるため、たとえ少しの副作用でも、日常生活には大きな支障をきたすこともあります。そのため、多汗症を完璧に治したい、完治させたいという方にはあまりお勧めの治療法ではないようです。
多汗症には精神的な影響が大きいとは何度もお話してきましたが、それをいい方向に利用してみてはどうでしょうか。「自分は多汗症だからどうにかしなければ」「今日だけは汗をかいてはいけない」そんなふうに多汗症に対して意気込んだ姿勢を持っていると、それが原因で更に汗をかいてしまうものです。しかし、「いざというときには多汗症なんかどうにかできるんだ」というような自分の気持ちに少しの余裕を持つことで、その症状は大きく変わる場合があります。その、いざというときの頼み綱にするのが、抗コリン薬です。薬は継続的に飲めば副作用の出現が心配になってきますが、どうしても汗をかきたくない大切な日などに、ピンポイントで使うのであれば、それほど問題にはなりません。前もって薬を飲んでおくことで、その日、薬の効果があるうちは多汗症に悩まされる心配はありません。少し余裕があるならば、事前に薬を飲まずにポケットにそっと薬を忍ばせてみてください。そうすると、どんなことが起ころうと、「最後にはこのポケットの中の薬を飲めば汗はストップするんだ」と思えるようになり、自然とゆとりが生まれてきます。薬が効くという最後の逃げ道を作っておくことで、多汗症の恐怖から解放されると言っても過言ではありません。
代表的な副作用は次の通りです。
口が渇くという症状がみられます。それに伴い、味覚の変化や口臭などにもつながる可能性があります。
尿の出が悪くなったり、逆にトイレが近くなったりすることがあります。また、便秘で悩まされることも多く、継続的に薬を使用していると便秘であるが故に体調を崩してしまうこともあるようです。多汗症の薬、抗コリン薬にはたくさんの種類があります。挙げればキリがないことと、薬の選択は医師と相談の上行って欲しいという思いがありますので、ここでは具体的な薬名までは触れません。しかし、薬による副作用はある程度決まっていますので、多汗症の内服治療を考えるときの目安にしてもらえたらと思います。
スポンサードリンク
スポンサードリンク
Copyright © 2011 はじめての多汗症治療!. All rights reserved