多汗症は日々のストレスによる交感神経の緊張によるものだと説明してきましたが、それとは別に、根本に大きな精神的問題が隠れている場合があります。この場合は、多汗症をどうにかしようとする以前に、抱えている問題に対しての治療をしていくことが先決になります。精神的な問題というものは、非常に複雑であり、本人でさえもその問題に気づいていないことが多々あります。そのため、多汗症の症状に悩み、病院を受診していくうちに、精神性多汗症であることを知ることもあるようです。精神的な問題が蓄積し、身体に精神性多汗症として現れるということは、心がSOSサインを出しているということでもありますので、今一度自らと向き合い、今自分に起こっている多汗症は、心のSOSサインではないか?と考えてみる必要もあります。
人と接することが怖いという、対人恐怖症というものがあります。この症状は、周囲の人への恐怖心が身体の不調として現れるものなのですが、その不調のひとつに精神性多汗症があります。この対人恐怖症の原因は人それぞれで、些細なことが引き金になり発症します。対人恐怖症が先か多汗症が先かの判断は難しいのですが、周囲から「ちょっと汗多いんじゃない?」などと指摘されたことがきっかけで、自分の汗の量が気になり、自分は多汗症かもしれないと考えるようになることもあります。汗を気にするあまり、周囲の視線が全て自分の汗に注目しているように思えてきてしまい、人目を気にしながら生活したり、ヒソヒソ話が全て自分の悪口を言ってるのではないかと、被害妄想に陥ったりします。その結果、もともと多汗症ではなかったかもしれないのに、多汗症を発症してしまったりするのです。更に、多汗症の状況が悪くなればなるほど、本人は追いつめられ対人恐怖症も悪化し、ひきこもりやうつ病へとつながってしまうこともあります。
いずれにしても、ひとつのことをいつまでも根に持つタイプや、くよくよ悩んで前に進めないタイプの人は、精神性多汗症を引き起こしやすいと言えます。このような場合は、自分だけの力で解決しようとすると、どんどんと深みにはまってしまうことがあります。そのため、精神科を受診し、森田療法などの精神療法やカウンセリングを受け、自分の考え方の癖を知り向き合っていくことが解決へ通じる道となるはずです。
精神性多汗症と関係のある精神的問題は、対人恐怖症の他にもたくさんあります。幼少期の環境や両親との関係、過去のトラウマなどが原因として起こることもあります。根本から精神性多汗症を治したいと考えるならば、精神的問題をひとつひとつ解決していかなければならず、とても長い期間を要します。精神療法の効果が現れるのは人それぞれで、精神科を受診するようになってすぐに解決する人もいれば、数年間精神療法を続けて、ようやく解決の糸口が見つかるという人もいます。精神性多汗症の症状が強く、日常生活が困難だという人は、根本の問題をひとまず置いておいて、手術など短期間で多汗症の症状だけ先に抑えてしまうこともいいでしょう。精神性多汗症の症状で悩むことがなくなってから、大事な問題に腰を据えて向き合っていけばいいですし、精神性多汗症の症状が消えた途端、今まで抱えていた精神的な問題も解決してしまう人もいるのです。
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